〆仏教と政治―史的総覧
二 インドにおける仏教政治 ヴァルダナ朝とパーラ朝 ナーランダ僧院が建立されたのはグプタ朝第4代クマーラグプタ1世の時代のことであったが、その40年に及ぶ治世の末期から、アフガニスタンに興った混成的遊牧勢力エフタルによる侵入に悩まされるように…
二 インドにおける仏教政治 マウリヤ朝以後の仏教政策 全般的に仏教に傾斜していたマウリヤ朝が滅亡した後、登場したのはマウリヤ朝将軍の出身とも言われるプシャヤミトラがクーデターによって建国したシュンガ朝であった。プシャヤミトラはインド伝統のバラ…
二 インドにおける仏教政治 アショーカの「法の政治」 仏教は根本分裂の後も、北インドでは引き続き勢力を拡大したが、インドにおける仏教は王朝体制それ自体ではなく、個々の国王の信仰心によって左右される傾向が強かった。マガダ国マウリヤ朝3代アショー…
一 初期仏教団と政治 ヴァッジ国と根本分裂 釈迦没後、マガダ国の首都ラージャグリハで仏教史上最初の宗教会議である第一回結集を大檀越として後援したのは、かのアジャータシャトル王であったと言われる。この時は、釈迦十大弟子の一人マハーカーシャパを座…
一 初期仏教団と政治 マガダ国と仏教 前回も触れたように、釈迦が布教に力を注いだマガダ国があった地方は、当時インドにおける政治経済的な中心地であったが、一方で、バラモン教的身分秩序が弛緩している地域としても知られていた。釈迦の原初仏教団が目を…
一 初期仏教団と政治 原初仏教団の創立と布教 シャーキャ国のガウタマ・シッダールタ公子、すなわち釈迦の出家動機の宗教的な説明としてよく知られている逸話として、「四門出遊」の伝承がある。すなわち公子が居城の東西南北の四つの門から郊外に出かけた際…
序 シャーキャ国 キリスト教、イスラーム教と並び世界三大宗教の一つに数えられる仏教は、他の二つの宗教に比べ、俗世間から離脱した脱政治的なイメージが強いが、仔細に見れば決してそんなことはないことがわかる。特に、南アジアから東アジアにかけてのア…