歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

欧州超小国史

欧州超小国史(連載第8回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (7)第一次世界大戦とファシズムの浸透 イタリア統一後も、イタリアの一部とならず、改めて近代国家として独立を固守したサン・マリーノであったが、大国化したイタリアに四方を囲まれたマイクロ内陸国としての地政学上、イタ…

欧州超小国史(連載第7回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (6)近代化と民主化の転機 1815年ウィーン会議で正式にサン・マリーノの独立が再確認された後、イタリアが1862年に念願の統一を果たした際も、サン・マリーノは統一イタリアに参加することは選択せず、友好条約により…

欧州超小国史(連載第6回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (5)伊統一運動と米南北戦争との関わり イタリアは(西)ローマ帝国の崩壊以来、小国分立の状態にあり、サン・マリーノもそうしたイタリアの中の特殊な由来を持つ小国の一つであった。しかし、19世紀に入ると、イタリアでは…

欧州超小国史(連載第5回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (4)近世サン・マリーノのはじまり 17世紀前半に教皇の保護国という形で国際法的にも独立国家として確定したサン・マリーノであったが、辺鄙な山岳国家ゆえに経済的には振るわず、17世紀から18世紀にかけては移民の続出…

欧州超小国史(連載第4回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (3)憲法制定から教皇による承認へ サン・マリーノの共和国としての基礎は、15世紀後半、ファエターノ集落が最後の構成共同体として参加し、9つの共同体のまとまりから成る国が形成されて一応完成を見たと言える。しかし、…

欧州超小国史(連載第3回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (2)世界最古の共和国として サン・マリーノは迫害を逃れた隠者のコミュニティーとして始まったゆえに、歴史的な記録に登場するようになったのは伝承上の建国年から数世紀も後のこととなる。最も早い記録は6世紀初頭頃に当地…

欧州超小国史(連載第2回)

Ⅰ サン・マリーノ至穏共和国 (1)建国者・聖マリヌス サン・マリーノは、建国者とされる人物マリヌスの個人名をそのまま国名とする稀有の国である。石工出身と言われるマリヌスは名前しか判明していない半伝説的な人物であるが、まさに伝説によれば、彼は…

欧州超小国史(連載第1回)

小序 世界には、人口10万人に満たない小都市レベルの独立小国が散在している。独立国として運営できていることが信じられないほど小さなこれらの国を、ここでは「超小国」と呼ぶ。 これら超小国の多くは南太平洋やカリブ海域の島国であり、独立国としての…