歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

ロマニ流浪史

ロマニ流浪史(連載第4回)

三 ビザンツ帝国のロマニ ロマニと見られる集団が欧州地域で最初に確認されたのは、ビザンツ帝国である。ビザンツは西アジアと欧州をつなぐ位置にあり、欧州への入り口であったから、ペルシャやアナトリアを経由して西へ移動していったロマニが最初に現れる…

ロマニ流浪史(連載第3回)

二 もう一つのロマニ?:ドム民族 ロマニの起源論を錯綜させる要因として、今日でもエジプトを中心に北アフリカ・中東・西アジアに広く分散するドムと呼ばれる民族集団の存在がある。ドムもロマニと同様、印欧語族インド語派に属する言語(ドマリ語)を話し…

ロマニ流浪史(連載第2回)

一 ロマニの原郷と移住 ロマニの流浪史は、欧州に到達する以前と以後とに大別することができる。ロマニと見られる集団の存在が初めて欧州側の史料に登場するのは11世紀後半であるから、さしあたりは、この時代を境に到達以前と以後とを分けることができる…

ロマニ流浪史(連載第1回)

エピローグ ロマニは中世以来、中東欧圏を中心に展開する移動民族として、その音楽や舞踊などの芸術的才覚は欧州文化にも大きなインスピレーションを与えながら、最下層の「流浪の民」として、しばしば差別と迫害の対象とされてきた、言わば欧州の不可触民で…