歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

ノルマンディー地方史話

ノルマンディー地方史話(連載第13回)

第13話 ノルマン慣習法とノルマン憲章 イングランド・プランタジネット朝「欠地王」ジョンが、フランス・カペー朝「尊厳王」フィリップ2世に敗れ、ノルマンディー地方を失った後も、イングランドは公式に領有権を主張し続け、最終的にノルマンディー地方…

ノルマンディー地方史話(連載第12回)

第12話 獅子心王vs尊厳王vs欠地王 イングランドにノルマン朝を継承する形でフランス系のプランタジネット朝が成立すると、ノルマンディー地方はイングランドの海外領土のような地位に納まったわけだが、フランスは大陸にあって自国の一部のようなノル…

ノルマンディー地方史話(連載第11回)

第11話 「ノルマン人征服」後のノルマンディー ノルマンディー公ギヨーム2世が力づくでイングランドを征服し、ノルマン朝イングランド国王ウィリアム1世として即位すると、ノルマンディーの位置づけはいささか微妙になった。初代ロロ以来の本拠地ノルマ…

ノルマンディー地方史話(連載第10回)

第10話 「ノルマン様式」の不思議 「ノルマン様式」とは、建築史の用語で、その名のとおり、ノルマン人の城塞や教会の建築に特有の様式を指している。しかし、興味深いことに、「ノルマン様式」は、1066年のノルマンディー公ギヨーム2世によるイング…

ノルマンディー地方史話(連載第9回)

第9話 バイユー・タピストリー ノルマンディー公国のギヨーム2世によるイングランド侵攻・征服は英国にとどまらず、欧州の歴史を変える大事変であったわりに、映画やドラマなどの題材にされることは意外に少ない。比較的最近では、2015年に『ギヨーム―…

ノルマンディー地方史話(連載第8回)

第8話 庶子公から征服王へ ロベール悪魔公がエルサレム巡礼からの帰途死去すると、生前に後継指名されていた長男ギヨーム2世が新しいノルマンディー公に即位したが、この時わずか8歳ほどの子どもであった。そのうえ、両親は正式に婚姻していなかったから…

ノルマンディー地方史話(連載第7回)

第7話 愛妾アルレット・ド・ファレーズ ノルマンディー公ロベール1世「悪魔公」は、どういうわけか正式の妃を持たなかった。持とうとしなかったのか持てなかったのかは判然としない。とはいえ、女性に無関心だったわけではなさそうで、アルレットなる出自…

ノルマンディー地方史話(連載第6回)

第6話 「悪魔公」時代と海外冒険 実兄暗殺の疑惑で始まった「悪魔公」ロベール1世の治世は、不安定なものとなった。とりわけ、教会との関係悪化が問題であった。この時代のノルマンディーの有力聖職者は公家の身内で固められていたにもかかわらず、ロベー…

ノルマンディー地方史話(連載第5回)

第5話 「善良公」から「悪魔公」へ 50年以上在位し、ノルマンディー公国の土台を確立したリシャール1世が996年に世を去ると、同名の息子リシャール2世が後を継いだ。彼は1世の後妻で森林監督官の娘グンノールとの間に生まれた子であった。そのため…

ノルマンディー地方史話(連載第4回)

第4話 モン・サン‐ミシェル修道院 モン・サン‐ミシェルは元モン・トームと呼ばれたおそらくは古代の墓地に由来する霊場であったが、6世紀という中世初期からキリスト教の修道士や隠者にとっての霊場として発展し始めたようである。 この地は709年の津波…

ノルマンディー地方史話(連載第3回)

第3話 ノルマンディー公国の発展 北欧バイキングに由来するノルマン人の封建的支配地としてのノルマンディーは二代目ギヨーム2世の時代までに明白に形成されていたが、前回見たように、ギヨームがフランドル伯の計略にかかって横死したこともあり、封建領…

ノルマンディー地方史話(連載第2回)

第2話 ノルマンディーの形成(2) バイキング指揮官から初代ノルマンディー公(正確にはルーアン伯)におさまったロロには、記録上フランス王女ジゼルのほかに、ポッパという妻がいた。彼女はハイキング勢力によるパリ包囲後に囚われたルーアン伯の娘とさ…

ノルマンディー地方史話(連載第1回)

第1話 ノルマンディーの形成(1) ルーアンを中心都市とするフランス北西部のノルマンディー地方は、フランスでも独特の地域である。「ノルマン人の土地」を含意するその名の由来となったノルマン人は、元来は北欧バイキングであり、ノルマンディー地方は…