歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

天皇の誕生(連載第24回)

第六章 「昆支朝」の成立 (3)旧王家の運命 処刑と潜伏 ここで、昆支のクーデター後の旧加耶系王家の運命について考えてみよう。とはいえ、それを明確に跡づけられるような史料は何も残されていない。ただ、『書紀』の顕宗天皇紀に収められた次のような「…

天皇の誕生(連載第23回)

第六章 「昆支朝」の成立 (2)「昆支朝」成立の経緯 倭国側の事情 百済王子・昆支が477年頃、倭の畿内王権の王に即位して開いたのが「昆支朝」である。前節で見たように、昆支=応神であるならばあるいは「応神朝」と呼ぶこともできるが、「応神」はあ…

天皇の誕生(連載第22回)

第六章 「昆支朝」の成立 応神天皇=八幡神は平安時代に入っても「皇大神」「我が朝の大祖」などとして皇室から崇拝されており、『日本書紀』の叙述上も応神紀からは徐々に史実性が増すと考えられている。この応神天皇とは何者であり、どんな王朝の「大祖」…

天皇の誕生(連載第21回)

第五章 「倭の五王」の新解釈 (4)「武」の解明 「武」の独自性 『宋書』によると、興が死去した後、その弟・武が立ち、宋にとっても王朝最末期の478年(その前年の遣使記録もあるが詳細不明)に遣使してきたことが記録される。この「五王」最後を飾る…