歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

仏教と政治―史的総覧(連載第6回)

二 インドにおける仏教政治 マウリヤ朝以後の仏教政策 全般的に仏教に傾斜していたマウリヤ朝が滅亡した後、登場したのはマウリヤ朝将軍の出身とも言われるプシャヤミトラがクーデターによって建国したシュンガ朝であった。プシャヤミトラはインド伝統のバラ…

日本語史異説―悲しき言語(連載第15回)

六 日本語の誕生と発達① 前日本語としては最終段階、従って日本語の直接的な祖語となる倭語が確立を見るのはおおむね6世紀代のことと考えられる。この時代はいわゆる古墳時代後期に相当し、この間、畿内の百済系倭王朝は精力的な征服活動によって、その支配…

日本語史異説―悲しき言語(連載補遺)

五ノ二 倭語の特徴(続) 前回、倭語の言語形態や語彙の特徴を見たが、ここで補足的に敬語体系についても触れておきたい。日本人自身がしばしば誤用する敬語体系の複雑さは、現代日本語にも認められる大きな特徴であるが、この特徴は上代日本語にすでに備わ…

仏教と政治―史的総覧(連載第5回)

二 インドにおける仏教政治 アショーカの「法の政治」 仏教は根本分裂の後も、北インドでは引き続き勢力を拡大したが、インドにおける仏教は王朝体制それ自体ではなく、個々の国王の信仰心によって左右される傾向が強かった。マガダ国マウリヤ朝3代アショー…

日本語史異説―悲しき言語(連載第14回)

五 倭語の特徴 主として百済語の倭方言として形成された倭語とはいかなる特徴を持っていたのだろうか。当時の文字史料は残されていないため、その答えもまた推論となるが、現代日本語の最も直接的な祖語となるだけに、現代日本語にもその特徴は継承されてお…