歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

天皇の誕生(連載第5回)

第二章 「神武東征」の新解釈 (2)天孫族の出自 降臨神話の真相 天孫ニニギは高天原から「筑紫の日向」に天降った。そして、その曾孫に当たる神武はそこから畿内に東征する━。 こう推定してみたいのだが、それにしても天孫が文字どおりに天から降ったので…

天皇の誕生(連載第4回)

第二章 「神武東征」の新解釈 南九州の日向から、軍団を率いて畿内へ侵入し、大和朝廷を建てたとされる「天神」の子・初代神武天皇の東征は単なる神話なのか、それともそこには何らかの史実が投影されているのであろうか。 (1)「神武東征」の出発地 宮崎…

天皇の誕生(連載第3回)

第一章 三人の「神冠天皇」 (3)応神天皇と八幡宮 皇大神としての八幡神 応神天皇が新王朝開祖であるらしいことは、宗教の面からも確認することができる。まさに応神天皇を祭神として祀っている八幡宮の存在である。宇佐八幡宮(宇佐神宮)を総本社とする…

天皇の誕生(連載第2回)

第一章 三人の「神冠天皇」8世紀に、漢学者・漢詩人の淡海三船[おうみのみふね]が撰じた歴代天皇の漢風諡号の中で、「神」を冠せられたのは初代神武・第10代崇神、第15代応神の三天皇だけである。このことは、8世紀の時点でも、三天皇が特別に神聖視…

天皇の誕生(連載第1回)

プロローグ 「天皇の誕生」というテーマは、正史・通説の立場からすれば、さしあたりは『古事記』(以下、『記』)及び『日本書紀』(以下、『書紀』)を参照のこと、と言うだけで済んでしまう。果たしてそれによると━ 天皇の祖は、皇祖神・天照大神[アマテ…