歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

私家版琉球国王列伝(連載最終回)

十六 尚泰王〈続〉 前回見たように、薩摩藩主・島津斉彬の急死は琉球内政にも大きく影響した。斉彬の代理人的な役割を果たしていた牧志朝忠に反発する勢力が動き出したのである。1859年、牧志ら親薩摩派は三司官選挙での買収など数々の汚職の罪で一斉検…

私家版琉球国王列伝(連載第15回)

十六 尚泰王(1843年‐1901年) 尚泰王は先代の父尚育王が若くして没したことから、1848年、幼少で即位した。そのため、治世初期の欧米列強との相次ぐ条約締結で主導的役割を果たすことはなかった。 1850年代に琉球が締結した一連の条約のう…

私家版朝鮮国王列伝[増補版](連載第12回)

十二 光海君・李琿(1575年‐1641年) 14代宣祖には長く嫡男が生まれず、その晩年は後継問題で揺れていた。庶長子の臨海君は性格上の問題から後継候補を脱落し、最有力候補は庶次子光海君だったが、これには明が長男でないことを理由に世子としての…

仏教と政治―史的総覧(連載第34回)

十一 近代国家と仏教 インドの仏教復興運動 発祥地インドでは伝統的なバラモン→ヒンドゥー教に押し返されて極小宗派となった仏教であるが、近現代になって、反カースト差別の政治運動と結びつく形で部分的な復興の動きがある。 その創始者ビームラーオ・アン…