歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日本語史異説―悲しき言語(連載第18回)

七 琉球語の位置づけ 日本語の発達を考えるうえで無視できない個別問題は、琉球語の位置づけである。琉球語は基本的な構造や語彙において、本土の日本語とかなりの共通点を持ちながらも、独自の発音体系や語彙も擁するという微妙な位置にあるため、方言なの…

仏教と政治―史的総覧(連載第10回)

三 スリランカの仏教化 植民地化と仏教の消長 スリランカ仏教は、16世紀のポルトガル人の到来により、大きな転機を迎える。ポルトガルは当時、西海岸で有力だったコーッテ王国や北部のジャフナ王国への攻勢を強め、植民都市コロンボを中心にスリランカ支配…

仏教と政治―史的総覧(連載第9回)

三 スリランカの仏教化 仏教王朝の確立 仏教を受容したアヌラーダプラ王朝は古く前6世紀代におそらくはベンガル地方から移住してきた集団によって樹立され、前回見たマヒンダ僧正の渡来・布教によって仏教を受け入れて以降は、ぶれることなく、南伝仏教の中…