歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

仏教と政治―史的総覧(連載第13回)

四 中央アジア諸王朝と仏教 西域諸国と北伝仏教 今日、日本をはじめ、東アジアで主流を成す大乗仏教はガンダーラに発し、北方ルートで中国を経て伝来したことから、北伝仏教とも呼ばれるが、その伝来ルートについて確実な定説は見られない。 大雑把には、ク…

日本語史異説―悲しき言語(連載第20回)

九 標準日本語の特徴 現在では共通語として全国的に通用し、日本人にとっては空気のように当たり前になっている標準日本語だが、この言語は純然たる計画言語ではないにせよ、かなり人為的に作り出された言語として、いくつかの特徴を持っている。 まずそれは…

仏教と政治―史的総覧(連載第12回)

四 中央アジア諸王朝と仏教 クシャーナ朝と大乗仏教 インド‐グリーク朝が衰退・分裂した後に、その地で台頭してきたのは、イラン系遊牧諸民族であった。初めはパルティアであり、紀元後間もなく、当地に残るギリシャ人勢力残党を駆逐したのは、かれらであっ…

仏教と政治―史的総覧(連載第11回)

四 中央アジア諸王朝と仏教 インド‐グリーク朝と仏教 仏教創始者・釈迦の出身地は北インドであったから、仏教がさらに北方へ伝播されることは自然な流れであった。その点、マウリヤ朝のアショーカ王は今日のアフガニスタンを中心とするガンダーラの征服を通…

日本語史異説―悲しき言語(連載第19回)

八 日本語の分化と統一 ある言語が支配的言語としていったん定着すれば、日常の口語としても常用され、しかも口語体の性質として方言分化が必至である。日本語の場合は、前段階の倭語の段階からすでに方言分化は進行していたが、日本語がひとまず確立された…