歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

関東通史―中心⇔辺境(15)

十六 幕末・維新の関東 周知のとおり、江戸幕藩体制は250年以上にわたり揺らぐことなく持続したが、19世紀半ばを過ぎると、にわかに終焉が近づいた。この「幕末」と呼ばれる体制最後の時期、関東は再び中心としての地位を失いかけたことがある。 幕府は…

イラクとシリア―混迷の近代史(6)

[E:three] 独立と混乱 [E:night]独立シリア共和国 フランスの委任統治領とされていたシリアの独立は、難航した。独立交渉自体は1934年に始まったが、フランスは自国の国益を優先し、限定的な「独立」にとどめようと画策していた。これに対し、シリア側で…

関東通史―中心⇔辺境(14)

十五 「政東経西」の近世 今日、首都東京を中心とする関東は、日本の政治経済、そして人口の大半が集中する「一極集中」の緩和が永遠の宿題となるほど偏向した中心地となっているが、このような現象は近代以降、それも主として第二次世界大戦後のことにすぎ…

イラクとシリア―混迷の近代史(5)

スンナ[E:three] 独立と混乱 [E:night]独立イラク王国 英国がハーシム家のファイサル(1世)を擁立して1921年に樹立したイラク王国は英国の保護国としてその間接支配下に置かれたが、30年に更新された新たな英国‐イラク条約で独立が取り決められ、3…

関東通史―中心⇔辺境(13)

十四 近世の関東② 史上初めて江戸を首都に定めた幕府が過去の二つの幕府と異なっていたのは、各地の大名を封建領主として安堵し、領内自治を保障しつつ、大名の布置を中央で人事異動的に統制する形で封建制と集権制とを使い分ける巧妙さにあった。 結果とし…

関東通史―中心⇔辺境(12)

十三 近世の関東① 関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康は、織豊両氏とは異なり、仮冒の疑い強い源氏系新田氏分家世良田氏の出自を称したため、源氏長者の名義で征夷大将軍に就任し、間接的に鎌倉・室町幕府の継承者として、室町幕府滅亡以来およそ30年ぶりに幕…