歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

仏教と政治―史的総覧(連載第8回)

三 スリランカの仏教化 マヒンダの渡来 今日、インドを軸に地政学上の南アジアを構成するネパール、ブータン、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、モルディブの7か国のうち、仏教徒が多数を占めるのは南端の島国スリランカと北辺の内陸国ブータンに限…

日本語史異説―悲しき言語(連載第17回)

六 日本語の誕生と発達③ 漢字を当てた日本式表音文字体系の万葉仮名からより簡略な仮名文字が発明されたのがいつのことか、明確には判明していない。奈良時代の末頃には漢字を崩した草書体が散見されるというが、正規文字としての使用は平安時代に入ってのこ…

日本語史異説―悲しき言語(連載第16回)

六 日本語の誕生と発達② 前日本語としての無文字の倭語から文字体系を備えた日本語への発展を促進するうえで架橋的な役割を果たしたのは、上代日本語の表記に用いられたいわゆる万葉仮名であった。上代日本語とは誕生したばかりの日本語であり、そこにはそれ…

仏教と政治―史的総覧(連載第7回)

二 インドにおける仏教政治 ヴァルダナ朝とパーラ朝 ナーランダ僧院が建立されたのはグプタ朝第4代クマーラグプタ1世の時代のことであったが、その40年に及ぶ治世の末期から、アフガニスタンに興った混成的遊牧勢力エフタルによる侵入に悩まされるように…