歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

パレスティナ十字軍王国史話

パレスティナ十字軍王国史話(連載第3回)

二 女王メリザンド パレスティナ十字軍王国は「王国」とはいえ、実態はフランス貴族の在外領地に近いものであったため、王権の継続性の担保が弱く、たびたび王統が変わっている。男性権力も脆弱であり、しばしば実権を持つ共治女王を輩出した。その最初の例…

パレスティナ十字軍王国史話(連載第2回)

一 十字軍四人衆 1095年に時のローマ教皇ウルバヌス2世の呼びかけにより、キリスト教の聖地エルサレムをイスラーム勢力から奪回することを目指して開始された第一回十字軍運動は宗教的熱狂に駆られた集団的運動であり、特定の際立ったヒーローを輩出す…

パレスティナ十字軍王国史話(連載第1回)

序 パレスティナ十字軍王国は、第一回十字軍の活動の結果、エルサレムを占領した十字軍によって建国されたキリスト教国家である。同時期に中東レバント地域に建国された四つの十字軍国家の一つと紹介されることもあるが、その200年近い持続性と国家として…