歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

外様小藩政治経済史(連載第11回)

三 狭山藩の場合 (2)経済情勢 狭山藩の本拠が置かれた河内狭山には、日本最古の灌漑用人口池とされる狭山池が所在している。その開削時期には諸説あるが、遺構の検証からは7世紀の飛鳥時代まで遡ることは確実と見られている。 元来、狭山地域は『日本書…

シチリアとマルタ―言語の交差点(連載第4回)

三 フェニキア人の植民とマルタ語 フェニキア人の入植活動は地中海域全般に及んだから、マルタ島もその例外ではなかった。紀元前8世紀頃、フェニキア人の最初期の拠点であった現レバノンのティルスから最初の集団的な入植があったと見られ、フェニキア人の…

クルド人の軌跡(連載第1回)

一 クルド人の形成 謎に包まれた発祥 クルド人は、国家を持たない世界最大民族集団(総人口約3000万人)とも呼ばれるが、それは近現代において、ごく短期間を除き、独自の国民国家を形成することがないまま、トルコ、シリア、イラク、イランを中心とした…

松平徳川女人列伝(連載第2回)

二 築山殿(?‐1579年)/徳姫(1559年‐1636年) 松平徳川女人の中でも、とりわけ悲劇的な最期を遂げたのが、徳川家康の最初の正室だった築山殿である。本名も生年も不詳という戦国時代の女性にはありがちな情報不足であるが、父は今川一門の関…