歴史の余白

内外の埋もれた歴史を再発見するブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

外様小藩政治経済史(連載第3回)

一 苗木藩の場合(2)経済情勢 苗木藩が領した苗木は、遠山一族が代々領地としてきた恵那郡の一部にすぎない狭隘な地であった。恵那郡自体は美濃国で最大面積を擁する広大な領域であるが、江戸時代には幕府領のほか、旧領回復した同族明知遠山氏の旗本領が…

ノルマンディー地方史話(連載第2回)

第2話 ノルマンディーの形成(2) バイキング指揮官から初代ノルマンディー公(正確にはルーアン伯)におさまったロロには、記録上フランス王女ジゼルのほかに、ポッパという妻がいた。彼女はハイキング勢力によるパリ包囲後に囚われたルーアン伯の娘とさ…

外様小藩政治経済史(連載第2回)

一 苗木藩の場合(1)立藩経緯 苗木藩は、初代藩主遠山友政が徳川家康から現在の中津川市苗木を所領として安堵されることによって成立した。遠山友政が出自した苗木遠山氏は、平安時代前期の貴族武将藤原利仁を遠祖と伝える美濃遠山氏の分家である苗木遠山…

ノルマンディー地方史話(連載第1回)

第1話 ノルマンディーの形成(1) ルーアンを中心都市とするフランス北西部のノルマンディー地方は、フランスでも独特の地域である。「ノルマン人の土地」を含意するその名の由来となったノルマン人は、元来は北欧バイキングであり、ノルマンディー地方は…

外様小藩社会経済史(連載第1回)

序説 徳川幕藩体制は、中世以来の武家支配に基づく日本型封建制を土台としながらも、自身も封建領主の一人であった徳川氏を頂点とする幕府が全国の領主を臣従させつつ、一方的な移封や収公(改易)の権限を含む中央からの強い統制力をもって封土を政策的に配…